照明との向き合い方
こんにちは、おやま♂です。
今日は照明について書きたいと思います。
一応、僕はこの照明が学生時代からの専門になるので少々マニアックな話になります、、、が、頑張ってその面白さを伝えたいと思います。
ではさっそく。
ホテル、レストラン、バーなどなど、、、空間の印象や雰囲気を大事にする所には必ず使われているものに、間接照明というものがあります。
もし自宅にもあったらお洒落だろうなあ、と思いながらもハードルは非常に高いです。
そもそも何故お洒落空間には間接照明が多いのだろうか。
ちょっと話変わって、実は、設計者にとって間接照明の設計は非常に難しいです。
僕は都内にある某病院で初めて間接照明の設計をした際、全然できなくて半ばキレそうになりながら何度も図面を書きなおしました。
色々考えた挙句、迷走してきて最後はエイヤーとなってしまいそうでしたが、絶対に外してはいけないセオリーがあるので、それを満たして何とか図面を書きました。
(もしかしたらダメダメ過ぎて上司が書き直したかもしれません。笑)
そのセオリーというのは、以下7つの項目です。
1.素材・艶・色
2.光源
3.カットオフライン
4.光の強さ
5.配光
6.器具の長さ
7.施工・メンテナンス性
これ、実は某照明メーカーさんから教えて頂いたものです。
もし間接照明を自宅に使いたいという方は、是非上の7項目を守るようにして下さい。
・・・・・と、言いましても、これ完全に新築一軒家を作るプロ仕様やん、、、って感じですよね。
新築でないにしても、既設の壁・天井・床を解体・加工するのが前提です。
そんなDIYをやって出来ちゃうのは身近だと僕の嫁くらいです。
なので、先程のセオリーをもっと簡単に解釈しますと、眩しさを抑えて明るさを確保し、器具自体の存在を消して簡単に設置できればOKということです。
さて、ようやく本題へ。
何故間接照明がよくお洒落空間に使われるのか、そのヒントはスタンドライトにあると思っています。
— スタンドライト —
楽天やアマゾンでざっとみても、種類が多くて安く簡単に手に入ります。
そんなスタンドライトは間接照明の代替にもなり得ます。
間接照明とは、上述したように眩しさを抑えて明るさを確保して器具も隠せばOKです。
なので、壁面を照らすようにこうすると、、、
もう立派な間接照明(擬き)です。
上の写真はもろにスタンドライトの頭が見えてますが、間接照明として代替する場合は棚の後ろとか家具裏に隠して下さい。
そして写真のように頭部分可動式だと照らす箇所を調節しやすいのでおススメです。
あと、京都の街中でよく見る行燈もスタンドライトなのに間接照明っぽいですね。
もしスタンドライトを住宅に使用する場合、電球は色温度が3500K、Raが80以上のLEDであれば光の雰囲気が良くなります。
色温度3500K = ややオレンジっぽい色
Ra80以上 = 肌の見え方がまあまあ自然
ってことだと思って下さい。
すみません、本題にもどります、、、
スタンドライトを間接照明にしようとした時、必ずある問題に辿り着きます。
とにかくスタンド(器具)が邪魔なんです。
そもそも、スタンドライトをあえて間接にしようとするのに無理がありますが、建築の設計者は部屋(空間)に明かりだけが欲しいと考えてます。
明かりだけが空間に漂っていると、器具が存在しないのでとても神秘的な雰囲気になります。
(先程の行燈写真がイメージし易いかと思います。)
多分、それがお洒落の構成要素の1つかと思います。
とはいっても器具はどうしても出てきてしまいます。
素っ気ない器具が剥き出しなのはどうにかしたいが、器具が存在する限りどうにもできない。
だからダウンライトが現れたんでしょうけど、それも器具が見えてしまう。
参考:新宿パークタワー イベントホール
すると、残すは建材の形を変えて無理矢理に照明器具を隠すといった、皆さんご存知の間接照明の登場です。
参考:福岡空港 ラウンジ
壁や床、天井の形を無理に変えて器具も見えないようにし、器具長さや施工メンテナンス性考えて、、、と、単に照明を取り付けるよりも複雑にしようとするので、間接照明の設計は難しくなってしまいます。
しかも、やり方が完全に臭い物に蓋状態です。
だから意匠設計者(俗に言う建築家、建物の見た目専門の人)はこの問題を解決しようと、見えないスタンドのスタンドライトを作ろうと試みています。
つまり、臭い物に蓋(間接照明)ではなく、明かりそのものを取り出せる照明器具を生み出すことを目指していると言えます。
いつかこの問題を解決できる照明ができたら良いなぁ、と、僕たち建物の設計者は考えて照明に接しています。
以上、少し難しいお話でしたが、少しでも照明の面白さが伝わればと思ってます。
最後に、建築家のスタンドライト作品例を2つ紹介して今日は筆を置きたいと思います。
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一つ目のリンク画像はアルネ・ヤコブセンという建築家が考案した、非常に洗練されてカッコいい照明です。
上手く器具を隠せないならせめて存在感をなくすためにスキニーなスタンドで対応しようという発想です。
1900年代半ばの試みです。
光源を壁に向けてなめるように照らせば、擬似間接照明もできます。
(まあ、スタンド自体のデザインが良いからこれはそのまま使った方が良いかもですね。)
なおリンクのものはリプロダクト品なのでそこまで高額ではありませんが、本物は桁が異なります。
二つ目はフランク・ロイド・ライトという建築家が考案した照明で、スタンドライトでありながら間接照明を体現した完璧な照明です。
こちらも1900年代半ばの試みです。
個人的にはスタンド感がなくて、木から明かりが零れるといった印象です。
照明器具と思わせないような見た目に仕上げ、明かりだけを空間に導こうとしているので、見えないスタンドのスタンドライトに最も近いかと思います。
残念ながらこれにはリプロダクト品がないので、リンクのものはかなり高額なのでご参考までに。
それでは、また次回に。
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